
福田寛之さんに教わる仮面インプロ(即興演劇)ワークショップ

この講座の講師の福田寛之さんです。
福田寛之(フクダヒロユキ)
ブリコラージュ研究所主宰・即興実験学校コアメンバー。
座・高円寺や名古屋市芸術創造センターなどで定期的にインプロ(即興演劇)のワークショップを行い舞台にも立つ。
近年は仮面とダンスに傾倒し、マスクの製作からフルマスク/ハーフマスクのワークショップ、パフォーマンスまで幅広く活動を展開。
愛知県出身。
【仮面について】
世界中の民族や文化に仮面は存在し、神聖なものとして扱われてきました。仮面は、宗教的な祭儀や呪術の場で神様や超越的な存在と交信し日常と非日常を繋ぐ媒介者であり、仮面を被ることで人智を超えた力や知識を得てきました。
では、現代に生きる我々が仮面を扱うのはどんな意味を持つのでしょうか。一つには、変化を体験するということがあすます。変化をするということは仮面の本質です。仮面を被ると顔が変わり、声が変わり、動きが変わり、キャラクターが変わります。そしてその変化は、多くの場合、本人の意図を超えた強烈なものである一方、頭で制御しようとすると消えてしまう繊細なものです。俳優にとっては、自分を投げ出し、私とは違う何者かになる体験は演技や役作りをする上でプラスになるかと思いますし、日常生活の中では味わえない変化を味わうのも楽しみ方の一つだと思います。
2015年度の参加者の感想です。
一日だけの参加だったが前日も受講すれば良かったと思うほど、内容が充実していた。
悲しい表情、険しい表情、楽しい表情、様々な表情のマスクがあったが、
身につける人によってそのマスクが色々な表情、キャラクターに見えるのも面白かった。
人がマスクをつけた時に気になるマスクの境目を隠すために被る帽子、マフラー、スカーフなどの
装飾品でもキャラクターが変わって見えた。
楽しい表情に楽しい仕草、悲しい表情に悲しい仕草だけではなく、
楽しい表情に悲しい仕草、悲しい表情に楽しい仕草…と表情と違う仕草をすることによって
そのキャラクターに深みが出るように感じた。
楽しい表情で悲しい仕草だと無理して笑っているように見え、
悲しい表情で楽しい仕草だと無理して元気に振舞おうとしているのかなと
見ている側も色々想像ができて楽しかった。
ただ歩いているだけ、動いているだけでもその人の持つ個性が出るので、
同じ仮面をつけていても違うキャラクターのように見えた。
囚人となって看守に見つからないように出口まで行くという訓練では初めて隊長となった。
今までリーダーは苦手で避けてきたところがあるので、自分からのアクションは緊張したが、
仮面の力もあって、出口に向かうまでには緊張も解けていた。
仮面の中での自分の表情も変化した気がした。
いつもは「どうしよう?」という動揺が顔にも現れるが、それはなかったように感じる。
ただ三歩しか進めず、三歩進んだら、相手が三歩進むまで動けないので、
相手に肩を貸した時にルールのために動けなくなった。
それも楽しく感じた。
仮面をつけず、自分の表情で動く時もリーダーが取れたらなと思った。
仮面をつける前の導入での好きな生き物になるという訓練で
それぞれの生き物に持つイメージが人によって違うのを知るのも面白かった。
他の人のする生き物を見て、新たな発見があった。
周りの人、動物、色々な生き物をもっと観察してみたいなと思った。
そして、仮面をつけたら、内面の自分も観察してみたいという不思議な気分になった。
どこでどのような場面で自分がどんな仮面をつけているかも見つけて、
芝居をする中でその表情がいつでも自由に取り出せるようにしていきたい。
同時に感情も取り出したり、隠したりできるようにしたい。
(30代女性)